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医師の相談室

ブログ

妊娠と風疹感染症

2020-05-07
今回は、これから流行シーズンとなる風疹と、妊娠との関係についてお話しします。
 
風疹って?
 
少し前に、風疹が日本で大流行して、
海外からも日本への渡航が禁止になったなどのニュースが流れていたのを覚えていらっしゃるでしょうか。
 
風疹感染は、ごくわずかな例を除いて症状が軽度なので、あまり気にする方はいないかもしれません。
子供の病気と思っている方も多いでしょう。
でも問題は、妊婦さんが感染し、お腹の赤ちゃんの発達や発育に影響を与えてしまうことです。
 
風疹ウイルスに感染する時期が、妊娠の早い段階であるほど、赤ちゃんへ感染の確率は高くなります。
風疹ウイルスに感染した赤ちゃんは眼や心臓、耳、身体や精神の発達などに異常が生じます。
20週を過ぎてからの感染は、胎児に影響を与えることはほとんどありませんが、
風疹ウイルス抗体を持っていない妊婦さんはそれまでの間、
どこに潜んでいるかわからないウイルスから身を守らなければなりません。
 
40代ー50代後半の男性が感染源?!
 
どこに潜んでいるかわからないと言いましたが、
実は、40歳ー50代後半の男性の方々が重要な感染源となっていることがわかっています。
この動画を見てくださるのが妊婦さん・もしくは妊娠を考えている女性だとしたら、
あなたの旦那さん、もしくはお父さんが該当しますね。
 
なぜかというと、風疹ワクチンの接種が始まった頃、まだワクチンの数が十分ではなかったので、
先天性風疹症候群を避けるため、女子中学生にしか予防接種が行われませんでした。
女子中学生にしかワクチンが打たれないという状況は、1995年まで続いたので、
ワクチンを打たれていない男性は、現在40歳-50代後半の方々ということになります。
ワクチンを打たれず、風疹にかかったこともない男性は、抗体を持っていないので、
風疹ウイルスが体に侵入しても抵抗できず、体内でウイルスが増殖します。
 
それが、あなたの旦那さんやお父さんであったなら、
症状はただの風邪のようなだったり、無症状のことも多いので、
知らず知らずの内に、妊婦さんや、妊娠を考えている女性と濃厚接触してしまうことになります。
つまり、近しい家族が持っていた風疹ウイルスが、赤ちゃんの将来を変えてしまう可能性があるのです。
 
感染予防はどうしたらいいの?
 
風疹ワクチンは生ワクチンなので、妊婦さんは予防接種ができませんが、
妊娠をこれから考える女性あれば予防ができます。また、妊婦さんのそばにいる家族も予防ができます。
現在は、必要事項を満たせば、風疹抗体検査や、必要時の風疹ワクチンは各自治体が負担してくれます
 
以前に風疹にかかったことがあり、それが確実な方であっても、ワクチンを追加接種することで
さらに免疫を高めることができます。かかったかどうか曖昧な方は、かかったことがないと考えてください。
また、風疹にかかったことがない方で、一度風疹ワクチンを受けたけれど、
検査等はしなくて大丈夫かどうか質問を受けることが多くあります。
一度のワクチン摂取では免疫が獲得できないことがありますので、
やはり妊娠を希望する場合には、事前検査は行った方がいいと思います
 
妊娠初期検査で、風疹ウイルス抗体が少なかった方は、ご自身の症状に注意してください。
検査結果に、8倍未満とか、16倍と書かれた方が風疹抗体が少ない妊婦さんです。
このような妊婦さんは、人混みは避けるようにして、産後は早めに風疹ワクチンを受けましょう。
また、長く続く高熱や、発疹、首のリンパ節の腫れなどがみられたら、かかりつけ産婦人科にまず電話相談しましょう。
直接受診すると、他の妊婦さんに感染させてしまう可能性があるので、電話で受診方法を確認してください。
 
ちなみに、風疹ワクチンを打つ前1ヶ月、打った後2ヶ月は避妊をしてください。
なぜかというと、体の中でワクチン用に弱められた風疹ウイルスが体内で一旦増加し、
その時に妊娠しているとお腹の赤ちゃんに感染する可能性があるからです。
 
妊娠していることに気づかずにワクチンを接種してしまった方もいらっしゃると思います。
現在のところ、このような方から先天性風疹症候群の赤ちゃんが生まれたという報告はありませんが、
安全のために、風疹ワクチンを打つ前1ヶ月、打った後2ヶ月は避妊をお願いします。
 
最後に
 
先天性風疹症候群は、子供の眼や心臓、耳、身体や精神の発達に障害を来します。
この病気は、大人が感染予防を行えば発症を0%にできる病気です。
妊婦さんや妊娠を希望する女性はもちろんですが、
風疹抗体を持っていない可能性が高い40歳から50代後半までの男性が検査をすることはとても重要です。
 
初めての妊娠で、どんなことを手伝っていいのかわからない旦那さんも多いでしょう。
風疹抗体検査は、確実にお母さんの力になれます。
お母さんと言うより、生まれてくる子供のためにとても大切なことなんです。
 
また、お孫さんができると喜んでいる若いおじいちゃんへ。
お孫さんの将来をもまるために、風疹抗体検査をぜひ受けてくださいね。
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