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医師の相談室

ブログ

小児の発熱

2020-04-22

みなさん、こんにちは。

 

4月になり、新しい生活を始められるお子さん、ご両親も多いことでしょう。

また、今は、目に見えないウイルスの影響で、不安な思いをされている方も多いと思います。

正しい知識を持って、お子さんやご家族を守ってあげてください。

 

今回は、お子さんの発熱についてお話していきたいと思います。

 

 

【お子さんが発熱したらどうしますか?】

 

保育園に通いだすと、様々な感染症にかかるようになります。

これは、お子さんの免疫がまだ未熟であること、また保育園にかよう子供達はまだ手洗い、

うがい、手指消毒などの感染予防を十分に行うことが難しいからだと思います。

 

感染症の症状は様々ですが、保護者の方がまず気になさるのは「発熱」ではないでしょうか。

お熱があると、痙攣するんじゃないか、脳に障害が残るんじゃないかなど、いろんなお声をききます。

 

また、働くご両親にとって突然起きる感染症の症状は、お子さんの体調が心配な反面、預け先がなく、

仕事も休めず、頭を抱えることも少なくないと思います。

「どうしても休めない、、解熱剤を飲ませて登園させよう!」

という保護者の方も、多くはありませんが、残念ながらお見受けします。

 

 

【発熱は体にとって悪いこと?】

 

ところで、発熱は悪者扱いされることが多いのですが、どうして発熱するのでしょうか?

実は、細菌やウイルスなどの病原体に感染すると、脳にある体温調節中枢が体温を上げる指令を出します。

なぜそのような指令を出すかというと、体温が上がることで、体の免疫機能が活性化するからです。

最初は、白血球やマクロファージといった細胞が体内に侵入した病原体を食べてしまうことでやっつけ

ますが、この細胞がよく働ける温度が38-40度と言われています。

また、体温が上がるとウイルスが増殖しづらくなったり、病原体をやっつけるための抗体という物質の産生も

亢進するといわれています。

 

 

【子供の正常な体温ってどのくらい?】

 

小児の正常体温は、大人とは少し違います。37.2~3度までであれば正常体温と言えるでしょう。

37.5度を超えると、何らかの反応、例えは感染症がお子さんの体内で起こっている可能性があります。

また熱には日内変動があり、前日夜に38度以上あったけれど、今朝は37度、ということもあり得ます。

しかしこれは、一時的に37度に見えているだけで、何らかの反応が引き続き起こっている可能性が高いです。

そのため、保育園では37.5度以上のお子さん、前日に38度以上の発熱があったお子さんは

登園を控えていただいています。

 

 

【発熱すると脳に障害が起こるってほんと?】

 

保護者の方からよく伺うのは、発熱と脳障害の関係です。

3ヶ月以上のお子さんであれば、通常、40度を超えない発熱ではその心配はほとんどありません。

また、発熱によって、手足や体全体の筋肉ががくがくと震えてしまう熱性痙攣も心配ですよね。

熱性痙攣であれば、大抵は5分以内に発作は治り、脳に障害を残すことはありません。

ただし、41度を超える発熱や、長時間におよぶ熱性痙攣などでは脳障害を起こす可能性がありますので、

早期の病院受診が必要です。

また、3ヶ月未満のお子さんの発熱は重症細菌感染症の可能性も考えられるので、

早期に病院受診をしましょう。

 

 

【クーリングや解熱剤はどういう風に使ったらいいの?】

 

クーリングにより体表を冷やすことで熱を下げる効果はありません。

お子さんの辛さを軽減し、気持ちよく休んでもらうための一助として使用します。

 

また、解熱剤は、熱があっても元気で食欲があれば使わずに経過を見てもいいでしょう。

目安ですが、38.5度をこえて本人が辛そうであれば、解熱剤の使用を考えます。

例え解熱剤を使用して一時的に体温を下げても、病気が治るわけではありません。

それどころか、先ほどお話したように、発熱は体を守るための反応なので、

これを無理に下げてしまうことで、病気である状態が長引いてしまうのです。

 

解熱剤では、最高でも1度程度しか体温が下がらないので、

平熱に戻すまで使用する、という考えはやめましょう。

お子さんの辛さが和らげば良いと思います。

 

 

【最後に】

 

一番は、発熱の原因を治療することが重要です。

小児の感染症で最多であるウイルス感染症では、抗生剤はききません。

お子さん本人の免疫で回復することが前提ですが、お子さんがその戦いに負けないように、

クーリングをしたり、時に解熱剤を使用したり、水分や栄養を補給してサポートしてあげます。

 

細菌感染症は抗生剤での治療になります。

年齢や症状によって、小児科の先生から入院か自宅安静かの指示があると思います。

 

また、3歳までの場合は、ワクチンの副反応による発熱も考えられます。

そのほかにも、熱中症や川崎病、アレルギーなども考えられますが、やはり最多はウイルス感染症です。

 

以上のように、発熱は、お子さんが病気と一生懸命戦っている証拠なのです。

働くパパ、ママにとってとても難しい判断を迫られることがあると思いますが、

安易に熱を下げたり、無理して登園させたりするのではなく、そばにいて、適切なサポートを行い、

お子さんと一緒に戦ってあげることがとても重要なのだと思います。

 

 

今回は、お子さんの発熱についてお話ししました。

それでは今日はこの辺で、またお会いしましょう。

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